先日、歯科医師にも検体採取を認める特例が厚生労働省から出されました。
新型コロナウイルスによる様々な影響を受けている世の中で、毎日聞く単語、PCR検査。
本来は歯科医師業の範囲外です。鼻や喉から採取するので。
しかし感染が広がる中で、医師の確保が難しくなった場合に、必要な研修を受けた歯科医師が、患者さんの同意を得て、実施する、と言うものです。
基本的には現段階では、大学病院など2次医療機関以上の施設が対象ですので、岡崎市民の皆様も、PCR検査を受けに一般の歯科診療所へは行かないようにお願いいたします。
さてこのPCR検査、ウイルスの遺伝子を見つけ出す検査なのですが、とても見落としが多い検査です。
100人の感染者を対象に検査したとして、30人は引っかからない検査です。
陰性だったからと言って、コロナではないと言い切れないのです。
今日陰性だったとしても、明日感染するかもしれません。
お金も時間もかかります。検査できる技師さんも少ないです。
でもなぜやるかと言うと、現段階ではこの検査でしか新型コロナウイルス感染を見つけられないからです。
皆さん、不安から安心を求めるあまり、ドライブスルー検査などで熱や咳がある人はたくさん検査すればいいと考えられているかもしれません。
ところがそれはお門違いです。
大前提として、熱が出た方に対してお医者さんが「コロナしか疑っていない」と言う状況はあり得ません。
世界には何百何千種類の病気があります。コロナはそのうちの上位100位にすら入っていないような疾患です。
他のより危険な疾患がひそんでいないか調べなければならないのに、コロナのことばかり考えて怖がる人があまりにも多すぎる今の状況にはかなり違和感と危機感を覚えます。
熱や咳がある方にいきなりPCR検査を行うと言うことは、例えるなら舌に違和感がある方に対して、舌ガンしか疑わず、いきなり組織を切り取って生検に出すみたいなことです。
それでもたくさんPCR検査を行うことにもし意義があるとするなら、それはどんな時かと言うと
早期発見することにより有効な治療が行える場合です。
ところが現状、新型コロナウイルスに対する治療薬はありません。
たくさん陽性の方がわかったとして、指定感染症になっているコロナ患者さんの受入施設は限りがあります。
さらにコロナは大半の方が無症状〜軽症で経過していくことがわかってます。
本当に重症で入院治療が必要な方に、貴重な医療リソースや設備が行き渡らず、医療をいたずらにひっ迫させかねない状況になり得るリスクがあります。
ですので、現在のPCR検査推奨基準は「入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う場合」となってます。
もちろん時間の経過と共に重症化傾向にある方などもPCR検査実施を考慮されます。
とにかくたくさん検査を行えば良いかというとそういうわけではなく、出た検査結果に対する治療法なり対処ができないと、状況がむしろよりシビアになって医療崩壊といったことが現実味を帯びてきます。
もちろん治療目的ではなく、疫学調査的な意味合いで日本中の患者数を調べたいなら意義はあります。
その場合なら、歯科医師が検査を行う前にまだPCR検査を行なっていない医師、精神科や眼科、耳鼻科などの医師免許を持たれている先生方が相当数いらっしゃるかと思われるので、ドクターの方々が検査を行なった方が保険制度的にも検査精度的にも良いのではないかと愚考します。
なんにせよ、人類皆が初めて遭遇する状況ですので、わからないことだらけの恐怖があります。
しかし本当に怖いのは、その恐怖につけ込む人間だったりもします。
そして新型コロナウイルス、わからないなりに分かることも日に日に増えてきてます。
自身にできる感染予防をしっかり行い、常に思考を止めずに、この大変な時期を一緒に乗り越えていきましょう。