親知らずについて
人間の歯は、上下左右で合計32本あります。 それぞれのブロックに8本ずつある計算です。『親知らず』とは、8番目の一番奥の歯の通称です。
なぜ親知らずというのか
親知らずは一般的に18~20歳代に生えてきます。中にはもっと遅く生えてくる方もいらっしゃいます。 語源としては
1、親元を離れた頃に生えてくる歯→親がこの歯の生え始めを知ることはない歯だから『親知らず』と呼ぶようになった説。
2、平均寿命が短かった時代、親知らずが生えてくる頃には親が亡くなっているから、という説が多く言われています。
親知らずは他にも色々な呼び方があります。
智歯(知歯)英語では『wisdom tooth』
これは大人になって、物事の分別がつくようになった頃に生えてくる歯、という意味です。医学的には『第三大臼歯』と呼びます。
親知らずにトラブルが起こる原因
●遺伝
親知らずの生え方は遺伝に影響されることがあります。親や祖父母が親知らずに関する問題を抱えている場合、子供や孫にも同様の問題が生じる可能性が高まります。
●口腔の空間不足
口腔内の空間が限られている場合、親知らずが正常に生えるスペースが不足することがあります。この場合、親知らずは他の歯に圧迫されたり、奇妙な角度で成長しようとすることがあります。
●歯の位置や角度
親知らずは通常、他の歯よりも後ろに位置しているため、正常な位置や角度で生えるのが難しいことがあります。これが歯の不正咬合や影響を及ぼす原因となることがあります。
●歯の発育遅延
親知らずは他の歯に比べて発育が遅いことがあり、成人になるまで歯茎の中に埋まった状態で留まることがあります。しかし、後に生え始めることがあります。
●炎症や感染
親知らずが歯茎の中に埋まっている場合、周囲の組織に炎症や感染が起こることがあります。これは疼痛や腫れの原因となります。
親知らずが原因で起こる症状
●疼痛
親知らずが歯茎の中に埋まったり、奇妙な角度で成長しようとすると、歯茎や周囲の組織に疼痛が生じることがあります。疼痛は軽度から激しいものまでさまざまです。
●腫れ
親知らず周辺の組織に炎症が起こることがあり、これが腫れや腫れた感じを引き起こすことがあります。
●口の臭い
親知らず周辺の炎症や感染が口の臭いの原因になることがあります。
●歯茎の出血
歯茎の炎症が進行すると、歯磨きや食事時に歯茎からの出血が生じることがあります。
●咬合困難
親知らずが他の歯に圧迫をかけたり、咬合(噛む動作)に影響を及ぼすことがあり、噛む際に痛みや不快感を引き起こすことがあります。
●隣接歯の不正咬合
親知らずが奇妙な角度で生えると、隣接する歯に圧迫をかけ、不正咬合(かみ合わせの問題)を引き起こすことがあります。
●感染症
親知らずが歯茎の中に埋まっていると、感染が発生することがあり、これにより膿がたまり、疼痛や腫れが悪化することがあります。
こんな症状があればまずは歯科へお越し下さい
今痛みがなくても、汚れがたまりむし歯の原因にもなりますので早めの受診をおすすめします。
治療の流れ
まずは親知らずの状態を診ます
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レントゲン撮影
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治療計画
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必要に応じて抜歯
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翌日以降、治癒状態の確認、消毒
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約1週間後に抜糸
抜歯について
抜かなきゃダメ?
まずは安心していただきたいのですが、そもそもご自身の歯ですから、悪いものではありません。ですから、絶対に抜かなきゃダメなものではありません。ところが、現代人は昔の人より顎が小さくなっており、8番目の歯まで綺麗に並びきることが少なくなりました。 歯の列からはみ出たり、一部分しか生えなかったり、横を向いたり、、、それにより、色々と不都合なことが起こる場合があります。そんな時は、抜いた方が楽になったり、後々問題を起こしにくくなったりするケースも確かにあります。
抜く必要のないケース
1、キレイに並んで生えており、歯ブラシで磨けて、反対の歯とちゃんと咬んでる場合
2、完全に骨に埋まっており、痛みやむし歯などの原因とならない場合
3、今後の治療計画で、必要になってくる場合
ひるがえすと、上記以外の場合は抜歯も治療の1項目に入ってくる可能性があります。
もちろん一人一人で状態が異なりますから、なかなか一概に言えません。まずは一度ご相談ください。
親知らずQ&A
- 痛くなくなったら抜かなくてもいいですか?
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そうとは限りません。一度痛くなった親知らずは、治っても再発する可能性が一生つきまといます。いずれ必ず痛くなるのであれば、早めの抜歯をお勧めすることもございます。
- 親知らずの抜歯は痛いですか?痛くないようにできますか?
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抜歯するときは麻酔をしっかり使いますので、痛くないようにできます。しかし下の親知らずの場合、奥の顎の骨は分厚いので麻酔が効きにくい部位であることは確かです。またその時に親知らずの埋まっている状態にもよりますが、抜いた後は1~2週間ほど痛みと腫れが続きます。痛み止めで抑え込める範囲ですが、抜歯したところに食べかすなどが入り込むと痛みの原因になりますので、うがいなどで清潔に保つ努力が必要になります。
- 何歳くらいで生えてきますか?
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般的に18~20歳代に生えてきますが、中にはもっと遅く生えてくる方もいらっしゃいます。ちょうど親元を離れた頃に生えてくる歯だ、ということが語源とも言われています。
- 複数の親知らずを同時に抜くことはできますか?
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抜歯後は、腫れることが多いので、何度かに分けて抜歯されることをお勧めしています。どうしても一度に抜歯をしたい場合は、日常生活に差し支えないよう配慮します。
- 抜歯の後気をつけることはありますか?
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抜歯後は、ある程度腫れや痛みが出ます。痛みが強い場合は処方された鎮痛剤を服用し、アルコールの摂取や激しい運動は控え、長時間の入浴はお控えください。