日常生活の中で、仕事や勉強、家事などに集中している時や朝起きた時など、ふとした瞬間に顎のだるさや違和感を感じることはありますか?
これを食いしばりといいます。クレンチング症候群ともいわれ、上下の歯が接触し、強い力で嚙み合わせている状態を指します。通常であれば、上下の歯は1mm程度のすき間がある状態が本来望ましいとされていますが、食いしばりの癖があると知らず知らずのうちに上下の歯を噛み合わせることになります。
食いしばりは無意識のうちにしていることが多く、それにより歯や歯ぐきに影響が出たり、肩こりや頭痛といった症状を引き起こすこともあるといわれています。
食いしばりの原因
なぜ無意識のうちに食いしばりをしてしまうのでしょうか?
食いしばりの主な原因は様々です。
・ストレスなどの精神的要因
緊張する場面に遭遇したときや、何かしらのストレスがあるときなどは特に無意識のうちに食いしばりをしやすくなります。ストレスがかかることによって交感神経が優位になり、口まわりの筋肉が緊張状態になると食いしばりが起こります。
・嚙み合わせなどの物理的要因
噛み合わせがよくない場合も食いしばりを引き起こす原因となります。嚙み合わせが部分的に低い、高い部分がある場合や、詰め物や被せ物の高さが合っていない場合など、食いしばりにつながる可能性があります。
・スポーツや力仕事などの習慣的要因
スポーツをしているときや、重たい荷物を運ぶなどの力仕事をしているときにも食いしばりは起こります。食いしばると運動能力が向上するのか、ということについても様々な研究がされています。
食いしばりが引き起こすもの
食いしばりをしている時間が長く続くことは、歯や顎、そして全身に様々な影響を与えます。
・顎関節への影響
食いしばりが続くほど、顎への負担も大きくなります。顎が疲れやすい、口が開けづらい、口を開けるときに音が鳴るといった症状につながり、それらは顎関節症の要因になります。
・歯への影響
歯への影響は様々です。強く食いしばることによって、歯が擦り減る、欠ける、割れるなどのおそれがあります。また、大きな力がかかることにより、詰め物や被せ物にひびが入ったり、割れることもあります。さらに、歯ぐきにも力がかかることによって歯周病が悪化したり、歯肉が下がることにより知覚過敏を起こす場合もあります。
・全身への影響
食いしばりによる影響はお口まわりだけではありません。強く食いしばることで顎だけでなく頭や肩の筋肉も緊張し、それにより肩こりや頭痛、腰痛といった症状が現れることもあります。
食いしばりを改善するには
食いしばりは様々な要因が重なり合って起こることが多く、解決法も単純ではありません。ストレスを完全になくすことは難しくとも、日々の生活の中で取り入れられる食いしばりの改善方法をいくつかご紹介します。
・メモを活用する
無意識のうちに食いしばることが多い方は、何かに集中している時やスポーツをしている時など、ふとした瞬間に自分が食いしばっているかどうかを意識してみましょう。思わぬ瞬間に食いしばっていることがあるかと思います。目につくところに「食いしばらない」と記したメモを貼り、メモが目に入ったら顎の力を緩めるように気をつけることも手段の一つです。
・マウスピースを装着する
睡眠時の食いしばりを自分でコントロールするのは難しいものです。寝ている間にマウスピースをつけることにより、歯や顎への負担を軽減することができます。マウスピースは歯科医院で作製してもらいましょう。
・正しい姿勢を心がける
頬杖をついたり、横向きで寝ることも顎への負担ががかります。顎関節に偏った力がかからないよう、日々の生活の中で心がけるようにしましょう。
今回は、食いしばりの原因やみられる症状、改善方法についてお話ししました。
無意識のうちに食いしばりを続けていると、歯や顎、そして全身にまで様々な影響を与えるおそれがあります。日常生活の中で少しずつ改善できるよう、意識していきましょう。
症状がなかなか改善されない場合は、お気軽にかけまちコミュニティー歯科までご相談ください。