フッ素は科学的に生み出されたものではなく、もともと天然に存在する元素の一つです。
地中や海中、地球上のすべての動植物に含まれており、自然界に広く分布しています。
身近な食品ではお茶や海藻、魚介類などに比較的多く含まれており、もちろんそれらを飲食する我々の歯や骨、血液中にも存在しています。
フッ素とフッ化物
フッ素(F)はすいへーりーべーぼくのふね、の『ふ』です。
元素記号F、原子番号9です。
原子番号9ということで、9個の電子を持っています。
この状態はとても不安定なので、すぐにどこかから電子をもらって安定してしまいます。
つまり自然界ではフッ素(F)として存在できません。
「フッ素」とは元素名を指しているので、我々は厳密にいうと「フッ素」を塗っているわけではありません。
むし歯予防によく用いられているのはフッ化ナトリウム(NaF)という「フッ化物」です。
この「〜化物」というのは、水に溶けた時にマイナスイオンを生ずる無機化合物のことを表します。
例えば、食塩は水に溶かすとマイナスの塩素イオンが現れますので、食塩(塩化ナトリウム)を構成する塩素は塩化物です。
フッ化ナトリウムを構成するフッ素はフッ化物で、水に溶けるとフッ化物イオンが現れます。
このフッ化物イオンの濃度が高くなると、むし歯に対する抗う蝕作用を発揮します。
余談ですが、フライパンなどのテフロン加工というものがありますが、あれはフッ素と炭素の化合物PTFE(フッ素樹脂)を貼り付けた処理のことです。
このフッ素樹脂はフッ化物イオンが産生されることがないので、フッ化物ではなくフッ素化合物に分類され、むし歯予防のフッ化物とは全く異なるものになります。
少しややこしいですね。
ですのでテフロン加工のフライパンで調理されたものを食べても、残念ながらむし歯予防にはなりません(笑)