岡崎市にお住まいで、むし歯治療を行った方で「差し歯」の治療をされましたか?
そもそも「差し歯」って最近あまり聞かないかもしれませんね。
歯医者の立場だと、患者さんがおっしゃる「差し歯」が具体的に何を意味しているか、実は注意深く聞いて確認することがあります。それくらい、広く抽象的な表現なことが多いです。
では「差し歯」って具体的には何でしょうか。
おそらく多くの人がいう「差し歯」とは、被せ物(クラウン)を意味していることが多いと思います。
これは歯科治療の歴史的な背景があり、割とベテランの歯医者の先生が分かりやすく表現するものが一般的な意味合いとして広がったものと思います。
むし歯が神経にまで達するくらい進行している場合、根管治療や抜髄と言われる、神経と取り除く治療を行います。
そういたしますと、神経の代わりにつめて、最後に人工的な歯となる被せ物(クラウン)を被せます。
患者さんご自身の歯自体は残していく治療であり、神経ととった部分にはコアという土台になるものを残している歯(歯根)に刺していきます。
昔はコアと呼ばれる棒状のものに人工的な歯の被せ物にあたるカタチが一体になっている形状でしたので、見た目からも作った歯を歯根に刺すように取り付けるイメージとなり「差し歯」と呼ばれるようになったと想定できます。
歯医者の立場で勘違いせぬように確認するのは、ごく稀に「差し歯」を骨に埋入する「インプラント」と混同していらっしゃる患者さんがいるためです。
現代で「差し歯」という表現があまり使われなくなったのは、取り除いた神経に刺すコアと被せ物を別々に作ることが主流で、歯根に人工的な歯を刺す様子が見られなくなったためであるといえます。
また、コアが金属だと歯根を壊してしまう可能性を高めることから、繊維状のファイバーコアというものを使われるようになったことも一因だと思います。
このように、材料の進化や治療工程の進化により、一般用語として例えられている言葉にも変化が出てくるというのは、とっても面白いことですね。そして、歯科治療が一般用語になっていることは、医療の他の診療科目に比べて、歯科が生活に近い存在であることも実感します。
こんな細かいことを知っても、普段の生活で「差し歯」という言葉は使わないかもしれませんが、ご高齢の方とお話すると出てくるかもしれませんね。
