前回「血糖値スパイク」という単語を出しました。
血糖値スパイクに触れる前に、糖尿病の概要についてお話しします。
糖尿病というのは、血糖値が高い状態で長い時間続いてしまう病態を指します。
ずっと血糖値が高いと、おしっこまで甘くなることから名前がついてます。
糖尿病の人はおしっこだけではなく、実は血液、唾液、鼻水、膿まで甘いらいしいです。
つまり身体中の体液全てが、糖分を通常よりも多く含んだ状態になっていると言うことです。
ここでのポイントは、糖尿病自体が恐ろしいというより、糖尿病によって引き起こされる合併症が非常に望ましくない症状を呈する、と言うことです。
我々がアクティブに活動するためには一定の血糖値が必要です。
しかし使いきれないほどの余分な糖分が、長い時間血液の中に存在していると、その余っている糖分はあらゆるタンパク質とくっつき出します。
これを糖化(グリケーション)といいます。
糖分がくっついたタンパク質は、別物になってしまうので本来の働きができなくなります。
例えば糖尿病の指標であるHbA1cという数値があります。
ヘモグロビンというのは赤血球に含まれるタンパク質です。
このヘモグロビンに糖分(グルコース)がくっついてしまい、本来の酸素を運搬するという働きができなくなってしまった状態のものを計測したのがHbA1cです。
再三になりますが、我々の身体は全てタンパク質でできています。
つまり高血糖が続くと言うことは、身体中のありとあらゆる組織、細胞がグリケーションを起こすことになります。
それによって引き起こされる糖尿病の合併症の代表が
網膜症
腎症
神経障害
そして歯周病
ということなのですが、皆様お気づきでしょうか?
目の網膜も、腎臓も、歯茎も、毛細血管が非常に多く集まっている組織です。
血管の壁もタンパク質ですから、毛細血管からダメになっていってしまうんです。
血流が滞ると、栄養がいかなくなりますから、末梢の神経細胞も死んでしまい、神経障害が起こります。
歯茎の血流が悪くなると、歯を支える骨が死んで溶け出します。
ですので、我々の身体は高血糖が続かないように、血糖値が上がってくるとインスリンというホルモンを出して、グリコーゲンや中性脂肪という身体にダメージを与えない形に変えて細胞内に取り込むわけです。
さて、糖尿病について簡単に概要をお伝えしたところで、本題の血糖値スパイクに入っていきます。
我々は食べものを食べるとき、咬んで飲み込み、胃で消化され腸で吸収します。
吸収されたものは小腸の門脈を通り、肝臓で代謝され全身へ行き渡ります。
糖質を摂取すれば、吸収され血中へ入るので大なり小なり誰でも血糖値が上がります。
問題はその「量」と「スピード」です。
そこでポイントになってくるのが、『精製』された食品です。
身の回りには精製された食品がたくさんあります。
糖質においては白砂糖や白米、小麦粉などがその代表格です。
精製と言うのは前にも述べましたが、余分なもの取り除く過程です。
つまり、かなり高純度の糖質になります。
ゆえに吸収も良く、かつ速やかです。
急激に大量かつ高純度の糖質が吸収されると、肝臓で一度に処理できず、処理し切れなかった糖質はそのままダイレクトに血管内へ入って血糖値が急上昇します。
血糖値の変動グラフ上で、スパイク状に数値が上がることから「血糖値スパイク」と呼ばれます。
正式には「食後高血糖」と言います。
この血糖値スパイク、実は真の問題点は高血糖になる事ではなく、そのすぐ後にやってくる『低血糖』を引き起こすことなんです!
どういう事なのかはまた次回。
続く