歯にまつわる栄養のエトセトラ– archive –
-
糖尿病を歯科から治そう③
血糖値が急激に高くなると、身体はどのように反応するでしょうか? 血糖値は高くなりすぎると、様々なタンパク質が糖化を起こすので、血糖値を急いで下げようとして、通常よりも過剰にインスリンを分泌します。 これにより、今度は急激に血糖値が低下し出します。 ここで注目すべきなのは、インスリン分泌も時間差で起こるので、最大血糖値が下がり始めた頃にインスリン分泌量がピークを迎えるのです。 結果として、血糖値が下がりすぎてしまいます。 これを低血糖といい、大体食後3〜4時間頃にこの低血糖状態を迎えます。 昼食を食べた後、ちょうど夕方4時頃に低血糖になる方が多くいらっしゃいます。 ご飯を食べた後、眠たくなることはありませんか? 夕方4時頃、ソワソワしたり、無... -
糖尿病を歯科から治そう②
前回「血糖値スパイク」という単語を出しました。 血糖値スパイクに触れる前に、糖尿病の概要についてお話しします。 糖尿病というのは、血糖値が高い状態で長い時間続いてしまう病態を指します。 ずっと血糖値が高いと、おしっこまで甘くなることから名前がついてます。 糖尿病の人はおしっこだけではなく、実は血液、唾液、鼻水、膿まで甘いらいしいです。 つまり身体中の体液全てが、糖分を通常よりも多く含んだ状態になっていると言うことです。 ここでのポイントは、糖尿病自体が恐ろしいというより、糖尿病によって引き起こされる合併症が非常に望ましくない症状を呈する、と言うことです。 我々がアクティブに活動するためには一定の血糖値が必要です。 しかし使いきれな... -
糖尿病を歯科から治そう①
糖尿病って、今ではすごくメジャーな病名です。 じゃあ糖尿病という疾患に対して、どんな病態で、治療法はこうで、どうなっていくのか?という質問に対して、簡潔にこうです!ということが示せる人って、そのメジャー度のわりに少ないと思います。 それだけ病態に幅があり、かつ個人差もあり、治療法にも歴史的な変遷があるから、一筋縄ではいきにくいことが複雑な理由なのですが、とりあえずはネットで調べれば簡単に出てきます。 しかしながらそれも種々雑多というか、玉石混合かつ膨大な情報量で、調べてみても 「で、結局なんなの?自分や身の回りの人にとってそれは本当に関係あるの?当てはまるの?」 ということに行き当たって、その時はわかった気がしても結局はなんだかよくわ... -
虫歯と身体の健康と糖質
みなさんも「砂糖が虫歯の原因」と言うことはよく聞くと思いますし、特別違和感を抱かないと思います。 ただ今の虫歯が人類史上で大きく増加したタイミングが2回あります。 まず1回目は農耕が始まった弥生時代。 それまで人類は700万年もの間、狩猟採集によって生きていましたから、食べ物の大部分を穀物ではなく動物の肉や魚から賄っていました。 糖質が摂れることなんて、ほとんど無いくらいラッキーな事でした。 その頃の人類の化石には、現代のような虫歯は全くみられないんです。 農耕が始まった頃、約1万年前から虫歯が見つかり出します。 ただ、この頃の虫歯も今の虫歯と少し違って、歯の頭の「エナメル質」と言う部分は無傷で、歯の根の部分、エナメル質より柔らかい「... -
タンパク質の必要量と、奥歯の重要性
これまでも述べてきましたとおり、栄養素において私たちの体にとって最も重要なものはタンパク質です。 タンパク質の英語名[protein]は、「第一の」を意味するギリシャ語[proteios]に由来し、「生体の構成単位として、また代謝物質として第一に重要な物質」として命名された経緯があります。 ふむふむ タンパク質が重要なことはわかりました では実際には一日にどのくらい摂れば良いのでしょうか? 一番わかりやすい指標は ご自身の体重1kgあたり1〜1.5g/1日 [体重50kgの場合:1日50〜75g必要] 上記が一般的な基準になります。 あくまで基準なので、例えば成長期であったり妊娠中、高齢者、ハードなトレーニング期などは必要量がさらに増大します。 ところでタンパク質50gってどれくら... -
口の傷は治りが早い
私たちは、時間が経って見た目は変わらなくても、中身の細胞は常に入れ替わり、一定期間たつと身体の全細胞が一新されます。 古くなったり機能が悪くなった組織は分解されて(異化)、新しい細胞が作られ(同化)入れ替わる、ということを繰り返しています。 それが生きている、ということになるわけですが、この壊される細胞と新しく作られる細胞のバランスが取れていることを、難しい言葉で言うと「動的平衡」が保たれているということになります。 爪が伸びたり、髪の毛が伸びたり、というのは組織が常に作られているという事実が見た目でもわかりやすいですね。 ではその材料はどこから来るのでしょうか? 一部は古くなって壊された細胞からリサイクルされますが、多くは食... -
コラーゲンと歯ぐきからの出血
私たちの身体はかなりの部分がタンパク質でできています。 みなさんご存知のコラーゲンもタンパク質です。 コラーゲンは繊維状のタンパク質で、軟骨や骨、皮膚、血管、靭帯などを構成しており、人間の全タンパク質の約3割を占めます。 歯ぐきにとってもコラーゲンは非常に重要な要素です。 ではみなさん、コラーゲンの材料はご存知でしょうか? コラーゲンを身体の中で作るためには、主に3つの栄養素が必要です。 1 タンパク質 2 鉄 3 ビタミンC 例えばお肌が荒れていたり、髪の毛の質が落ちた時に、ビタミンCを摂取すると、とても綺麗に改善する方もいれば、全く効果の出ない方もいらっしゃいます。 改善しない場合は他の材料、鉄やタンパク質が不足している可能性があります... -
はじめに
みなさまは3大栄養素ってご存知でしょうか? タンパク質・脂質・糖質のことを指しています。 これは、私たち人間の生命維持や身体活動などに欠かせないカロリー源となり、ATPに変換される栄養素です。 さて、では以下の成分は何の構成成分でしょうか? * 水分 : 62.6% * タンパク質:16.4% * 脂質:15.3% * ミネラル:5.7% * 糖質:1%未満 上記は人体の平均的な構成成分です。 水を除くと、私たちの身体は約85%がタンパク質と脂質でできています。 糖質がとても少なく見えますね。 摂取した余剰な糖質は身体の中で脂肪として蓄えられる性質があるから、という部分もありますが、人体の構成成分として最も重要かつ多くを占めている成分はタンパク質であることがわかります。 私...
12