お茶やコーヒーで歯が黄ばむ理由と防ぐための習慣

今回は、お茶やコーヒーで歯が着色する原因と、そのメカニズムについてご紹介します。

朝のコーヒーや食後のお茶は、多くの人にとって欠かせない習慣です。しかし、これらの飲み物を日常的に摂取していると、だんだんと歯の色がくすんだり黄ばんだりしてくることがあります。これは単なる「汚れ」ではなく、飲み物に含まれる成分や口腔環境の変化が関係しています。

着色の主犯は「ステイン」

お茶やコーヒーによる着色の大きな原因は、ステインと呼ばれる着色汚れです。ステインは、飲み物や食べ物に含まれる色素やポリフェノールが、歯の表面に付着して沈着することで起こります。

また、コーヒーや紅茶、緑茶にはタンニンというポリフェノールの一種が豊富に含まれています。タンニンは色が濃く、さらに歯の表面に存在するペリクル(唾液中のタンパク質が作る薄い膜)に結合しやすいため、飲み続けるうちに徐々に色が濃くなっていきます。

ペリクルと着色の関係

歯はむき出しのエナメル質で覆われていますが、口の中では常に唾液中のタンパク質によって「ペリクル」と呼ばれる薄い膜が形成されています。ペリクルは歯を保護し、酸から歯を守る役割を果たしていますが、同時に色素が付着しやすい面でもあります。お茶やコーヒーの色素は、このペリクルに浸透・結合しやすいため、一度沈着すると通常の歯磨きでは落としにくくなります。特に、ペリクルは飲食のたびに再形成されるため、着色の機会は何度も訪れることになります。

エナメル質の性質と着色

エナメル質は人体の中で最も硬い組織ですが、完全に滑らかなわけではなく、目に見えない細かな凹凸があります。そこに色素が入り込むと、通常のブラッシングだけでは除去が難しくなります。さらに、酸性の飲食物や加齢などによってエナメル質が薄くなると、象牙質(やや黄色味を帯びた層)が透けて見えやすくなり、より黄ばみが目立つこともあります。

pHと着色の関係

コーヒーや紅茶は弱酸性で、飲むと一時的に口腔内のpHが低下します。酸性状態ではエナメル質がわずかに軟化し、色素が付着しやすくなります。すぐに歯を磨くとエナメル質を傷つけるリスクがあるため、着色予防のためにも飲んだ後は水で口をすすぎ、しばらくしてからブラッシングするのが理想です。

着色を加速させる要因

同じようにお茶やコーヒーを飲んでいても、着色しやすい人とそうでない人がいます。その差には以下の要因が関係します。

  • 歯の表面の状態:エナメル質の凹凸が多いほど色素が入り込みやすい。
  • 唾液量:唾液が少ないと自浄作用が弱まり、色素が定着しやすい。
  • 飲み方:ゆっくり時間をかけて飲むほど歯に触れる時間が長くなり着色しやすい。
  • 喫煙習慣:タールが付着してさらに色素がつきやすくなる。
  • 口腔ケアの頻度・方法:適切なブラッシングや定期的なクリーニングをしていないと着色が蓄積する。

着色を防ぐための習慣

お茶やコーヒーを完全にやめるのは難しいですが、日常の工夫で着色を軽減することは可能です。

・飲んだ後に水やお茶で口をすすぐ
色素が沈着する前に洗い流すことで、着色を予防できます。

・ストローを使う
前歯への接触を減らし、特にアイスコーヒーやアイスティーには有効です。

・食後すぐの歯磨きを避ける
酸で軟化したエナメル質を守るため、30分ほど時間を置いてから磨くのが理想です。

・研磨剤入り歯磨き粉やホワイトニング歯磨きの活用
軽度のステインであれば、毎日のケアで除去・予防できます。

・定期的なプロフェッショナルケア
歯科医院でのクリーニング(PMTC)は、家庭で落としきれないステイン除去に効果的です。

一度ついた着色はどう落とす?

軽いステインであれば、ホワイトニング用歯磨きや歯面清掃で対応できます。しかし、長期間蓄積した着色やエナメル質内部まで入り込んだ色素は、歯科医院でのホワイトニングが必要になります。ホワイトニングは、過酸化水素や過酸化尿素を用いて色素分子を分解し、歯本来の白さに近づけます。歯面清掃とは異なるため、黄ばみが気になる方には効果的な方法です。

まとめ

お茶やコーヒーによる歯の着色は、主にタンニンなどの色素がペリクルやエナメル質の凹凸に入り込むことで起こります。酸性によるエナメル質の軟化や唾液量の低下、生活習慣も着色を加速させる要因です。しかし、飲み方や日常のケア方法を工夫することで、着色を予防したり軽減したりすることは可能です。コーヒーやお茶を楽しみながらも、定期的なクリーニングやホワイトニングを取り入れ、清潔で明るい笑顔を保ちましょう。

歯の着色が気になる方は、かけまちコミュニティー歯科にご相談ください。

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