戦わずして勝つ、ためには

孫子の兵法は有名ですが、歯科治療もまさにこの通りで、戦わずして勝つのが一番良いと思います。

つまり、予防です。

しかしながら歯を失ったり大きな虫歯や歯周病が進行した状態になると、戦わないわけにはいかないので、様々な戦法を用いてあの手この手で進行を食い止めるわけです。

削ったり抜歯したり手術したり、、、後には大きな穴や歯が抜けたところが残るので、これもまた持てる技術を総動員して修復するのです。

セラミックスや造骨術やインプラントや義歯やetc…

歯科医療も昔に比べると格段に進歩しており、いろんなことができるようになってきてますが、物事には原因があるので、どうしてこうなったのかの根っこの方を押さえておかないと、どんなに素晴らしい処置をしてもまた同じく壊れて行きかねません。

歯ばかり注目してしまうと、木を見て森を見ずみたいなことになります。

全てがそうではありませんが、往々にしてご高齢になっても健康な歯列を維持している方々は、かなりの確率で良い顔立ちをされています。

語弊があるといけませんが、別にイケメンであるとかそういうことではありません。

前後左右上下の3次元的にバランスの取れた骨格
滑らかに動く顎の関節
十分な口周りの筋力
厚みのある歯を支える骨と健康的なピンク色の歯ぐき
最後に健全な歯ならびと神経などをあまり取っていない歯

歯だけを詰めたり被せたりするだけでバッチリOKな方もいらっしゃいますが、そもそもの歯の位置や歯ならびがよくないと、穴だけ埋めても後々もっと大きなトラブルが起こって意味がない、ということもあり得ます。

あくまで治療のゴールは、ちゃんと噛めて、見た目もよくて、長く安定する状態であるべきです。

そのための土台のところ、骨格や顎、筋力なんかは、近年注目されている小児期からの呼吸や嚥下をはじめとする無意識の習慣と、食事習慣(こちらは虫歯予防にも関連します)をコントロールすることで望ましい方向へ成長を促すことができるようになってきました。

この段階で理想的な習慣と機能、形態を獲得できれば、戦わずして勝つ、ということが現実的になります。

しかし複雑にこんがらがった現代社会、残念ながらみんながみんなそううまくはいきません。

その場合は、やはりどうしても矯正治療が必要になることがあります。

成人で骨格的に問題がある場合は、外科的な矯正治療、顎の骨切り手術ですが、大掛かりな処置も必要になることもあるでしょう。

矯正治療は保険が効かないので、本来なら必要な治療なのに今まで歯科医院で提案すらされたことがない、という方は存外多くお見えになります。

戦わずして勝つには予防が一番ですが、次の策としてはなるべく無傷のまま敵に降伏させることです。

敵をやっつけて勝つのは次善の策で、歯を削る前にできることはたくさんあります。

最悪なのが城に攻め入ることで、これがいわゆる保険治療で、痛いところだけ順番にやっつける、というのに当たるのかと思います。

本日はMIMCDというスタディクラブの勉強会へ参加してきました。

改めて、地に足をつけた歯科医療を提供できるように勉強し続ける必要性を感じました。

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