遅くなりましたが週末に栄で講演会に参加してきました。
先日豆知識にも更新した「睡眠時無呼吸症候群」の治療に関する新しい技術についてでした。
歯科用CTの普及により、インプラントなどの手術に対するシミュレーションは当たり前になりましたが、デジタル技術の進歩により歯や骨といった固い組織だけではなく、気道や舌といった柔らかい組織にもフォーカスすることができるようになりました。
歯科の分野での睡眠時無呼吸症候群の治療は、口の中にマウスピースのような装具を入れてもらって寝るというものです。
目的はこの装具で下顎を前に出して、空気の通り道である気道が狭くならないようにすることです。
ところがこの装具を入れた時に、どのくらい気道が広くなっているのかを測定する方法がありませんでした。
デジタル技術が進歩したことで、CTで撮影した気道の体積を、指定した範囲で測定するソフトができたようです。
客観的に効果を判定することができるツールが増えることは、歯科医療を行う上でとてもいいことだと思います。
米国では毎年5万人以上の運転士が亡くなっているのですが、その20%が睡眠時無呼吸症候群に起因する事故だというデータがあります。
これによる経済損失は18兆円だそうです。
日本では3.5兆円ほどだと言われています。
また、スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故も睡眠時無呼吸症候群が背景にあるようです。
夜によく眠れないだけ、ということで軽視することはできないれっきとした病気です。
我々にできることと役割をしっかりと果たす意義を再確認しました。