「甘いものを食べすぎるとむし歯になる」とよく言われますが、実は歯にとって大切なのは“何を食べるか”だけではありません。むしろ見落とされやすいのが、「何回食べているか」「どのくらい長く食べているか」という点です。おやつの量がそれほど多くなくても、時間を決めずに少しずつ食べたり、甘い飲み物を何度も口にしたりしていると、お口の中はむし歯になりやすい状態が続いてしまいます。
今回は、間食の回数が歯に与える影響と、今日から見直したい食習慣についてご紹介します。
食べるたびに、歯は“酸”にさらされている
食事やおやつを食べると、お口の中の細菌は糖分をエサにして酸を作ります。この酸によって歯の表面からミネラルが溶け出す状態を「脱灰」といいます。ただし、食べたらすぐにむし歯になるわけではありません。通常は唾液の働きによって酸が中和され、溶けかけた歯の表面は少しずつ修復されます。これが「再石灰化」です。問題になるのは、この回復の時間が十分に取れないことです。間食の回数が多い方や、長時間だらだら食べる習慣がある方は、お口の中が酸性に傾く回数が増え、歯が回復する前にまた次の酸の刺激を受けてしまいます。
“量”より“回数”が問題になることも
たとえば、チョコレートを一度に食べる場合と、同じ量を何回にも分けて食べる場合では、後者のほうが歯にとって負担が大きくなりやすいと考えられます。理由は、お口の中が酸性になる回数が増えるからです。食事や間食のたびに歯は酸にさらされ、そのたびに回復の時間が必要になります。世界保健機関や米国の歯科関連機関でも、糖分の摂取量だけでなく、摂取頻度がむし歯リスクに関わることが示されています。
だらだら食べが危険な理由
“だらだら食べ”とは、おやつの時間を決めずに少しずつ食べ続けたり、デスクワークや勉強をしながら甘い飲み物を何度も飲んだりする習慣のことです。飴を長くなめる、カフェラテやスポーツドリンクを少しずつ飲む、グミやクッキーを何度もつまむといった行動も含まれます。このような食べ方では、お口の中が酸性のままになりやすく、歯が休む時間がほとんどありません。中には「量は少ないから大丈夫」と思っている方もいますが、歯にとっては“何回も攻撃されること”のほうが問題になるケースがあります。
甘い飲み物は特に注意
間食というとお菓子をイメージしがちですが、実は飲み物にも注意が必要です。ジュース、乳酸菌飲料、加糖の紅茶やコーヒー、エナジードリンクなどは、気づかないうちに糖分を何度もお口に入れてしまう原因になります。飲み物は固形物よりも気軽に口にしやすいため、回数が増えやすいのが特徴です。さらに、ちびちび飲みを続けると、お口の中がなかなか中性に戻りません。水や無糖のお茶を基本にし、甘い飲み物は時間を決めて飲むことが、歯を守るうえで大切です。
間食をゼロにしなくても大丈夫
「では、おやつは一切食べてはいけないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。大切なのは、間食を完全になくすことではなく、回数と食べ方を見直すことです。おやつを食べるなら時間を決める、食べたらそこで終わりにする、甘い飲み物をだらだら飲まない、といった意識だけでも大きな違いがあります。目安としては、食事以外の飲食回数を増やしすぎないこと、できれば“おやつの時間”をイベントのように区切ることがポイントです。食べる時間にメリハリをつけることで、唾液が歯を守る時間を確保しやすくなります。
だらだら食べを防ぐコツ
だらだら食べを見直すには、まず自分の習慣を知ることが大切です。仕事中についお菓子をつまんでいないか、移動中に甘い飲み物を何度も飲んでいないか、夜にテレビを見ながら間食していないかを振り返ってみましょう。そのうえで、「おやつは15時だけ」「甘い飲み物は食事のときだけ」「食べたら水やお茶で口をすっきりさせる」など、自分なりのルールを決めるのがおすすめです。食後や間食後に歯みがきができれば理想的ですが、難しい場合でも口をゆすぐだけで違いがあります。
まとめ
むし歯予防というと、歯みがきの回数や甘いものの量に目が向きがちですが、実は「間食の回数」と「だらだら食べをしていないか」がとても重要です。食べるたびにお口の中は酸性に傾くため、回数が増えるほど歯はダメージを受けやすくなります。だからこそ、間食は悪いものと決めつけるのではなく、食べる時間を決めること、飲み方を見直すこと、歯にやさしい選び方を意識するようにしましょう。
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