Facially Generated Treatment Planning workshop
2019.11.17
こんにちは、院長の吉田です。
さる11月9日から3日間、私はアリゾナにある世界的な歯科教育機関、Spear Education にて診査診断の基礎であるコンセンサスを学んでまいりました。
その間、医院を空けまして一部の方にはご迷惑をおかけしました。
そこまでして学びたかったものがありました。
アメリカは医療が進んでいることもありますが、日本との決定的な違いは歯科医療の立場です。
人気の職業ランキングにもそれは如実に現れており、アメリカでは歯科医師、歯科衛生士は不動の上位、歯科技工士もランキング一桁。
対して日本ではどちらかと言えば敬遠されており、歯科衛生士、歯科技工士とも不足傾向です。
何事にも理由があると考えていますが、アメリカでそれだけの地位を築く歯科医療の本質の断片でも吸収できればと昔から考えておりました。
今回その機会を得ることができましたので、この場を借りてご報告いたします。
タイトルのFacially Generated Treatment Planning(FGTP)は、要は顔貌から最適な治療計画をスタートしていきましょう、というもので虫歯や痛みの治療というものとは少し概念の次元が異なります。
治療のゴールはあくまで一生涯にわたる安定。
歯単独ではなく一つの口を包括的に考え治療、維持していくコンセプトになります。
専門的な話になりますので詳細は割愛いたしますが、とにかく正しい診断を下すにはちゃんとした資料採得を元に診査する必要がありますよ、という至極真っ当な見識です。
今回のworkshopは一番の基礎となるとても重要な部分で、当院でも毎日資料採得を行っておりますが、そちらの再確認とディスカッションがメインでした。
近年アメリカでは特に歯科治療と気道(呼吸)の関係が大変注目されており、中でも睡眠時無呼吸症候群は経済的損失も大きいことからその診査プロトコルなどはとても興味深いものになっております。
おそらく10年のうちに日本にもその波がくることはほぼ確実に予見されます。
来年は話題の気道、Air wayのseminarおよびworkshopへ参加する予定をしており、今から予習に余念がありません。
私は英語は昔から苦手で、欧米諸国の方が医療が進んでいることは重々承知してましたが、言葉の壁が邪魔をしてどうしても敬遠してました。
今回、勇気を出して20時間かけて渡米しまして、言葉はさっぱりでしたが非常に大きなものを得ることができたように思います。
言葉の壁は高いですが、乗り越えさえすれば新たな世界が広がっていることを実感しました。
勉強はもちろん続けながら、今の自分にできる最大限を模索し続けていければと思います。
カテゴリ:セミナー参加
戦わずして勝つ、ためには
2019.11.03
孫子の兵法は有名ですが、歯科治療もまさにこの通りで、戦わずして勝つのが一番良いと思います。
つまり、予防です。
しかしながら歯を失ったり大きな虫歯や歯周病が進行した状態になると、戦わないわけにはいかないので、様々な戦法を用いてあの手この手で進行を食い止めるわけです。
削ったり抜歯したり手術したり、、、後には大きな穴や歯が抜けたところが残るので、これもまた持てる技術を総動員して修復するのです。
セラミックスや造骨術やインプラントや義歯やetc…
歯科医療も昔に比べると格段に進歩しており、いろんなことができるようになってきてますが、物事には原因があるので、どうしてこうなったのかの根っこの方を押さえておかないと、どんなに素晴らしい処置をしてもまた同じく壊れて行きかねません。
歯ばかり注目してしまうと、木を見て森を見ずみたいなことになります。
全てがそうではありませんが、往々にしてご高齢になっても健康な歯列を維持している方々は、かなりの確率で良い顔立ちをされています。
語弊があるといけませんが、別にイケメンであるとかそういうことではありません。
前後左右上下の3次元的にバランスの取れた骨格
滑らかに動く顎の関節
十分な口周りの筋力
厚みのある歯を支える骨と健康的なピンク色の歯ぐき
最後に健全な歯ならびと神経などをあまり取っていない歯
歯だけを詰めたり被せたりするだけでバッチリOKな方もいらっしゃいますが、そもそもの歯の位置や歯ならびがよくないと、穴だけ埋めても後々もっと大きなトラブルが起こって意味がない、ということもあり得ます。
あくまで治療のゴールは、ちゃんと噛めて、見た目もよくて、長く安定する状態であるべきです。
そのための土台のところ、骨格や顎、筋力なんかは、近年注目されている小児期からの呼吸や嚥下をはじめとする無意識の習慣と、食事習慣(こちらは虫歯予防にも関連します)をコントロールすることで望ましい方向へ成長を促すことができるようになってきました。
この段階で理想的な習慣と機能、形態を獲得できれば、戦わずして勝つ、ということが現実的になります。
しかし複雑にこんがらがった現代社会、残念ながらみんながみんなそううまくはいきません。
その場合は、やはりどうしても矯正治療が必要になることがあります。
成人で骨格的に問題がある場合は、外科的な矯正治療、顎の骨切り手術ですが、大掛かりな処置も必要になることもあるでしょう。
矯正治療は保険が効かないので、本来なら必要な治療なのに今まで歯科医院で提案すらされたことがない、という方は存外多くお見えになります。
戦わずして勝つには予防が一番ですが、次の策としてはなるべく無傷のまま敵に降伏させることです。
敵をやっつけて勝つのは次善の策で、歯を削る前にできることはたくさんあります。
最悪なのが城に攻め入ることで、これがいわゆる保険治療で、痛いところだけ順番にやっつける、というのに当たるのかと思います。
本日はMIMCDというスタディクラブの勉強会へ参加してきました。
改めて、地に足をつけた歯科医療を提供できるように勉強し続ける必要性を感じました。
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