歯の保存
2018.10.30
こんにちは、院長の吉田です。
またまた先週末の話ですが、土曜日におやすみをいただいて神戸は三ノ宮へ2日間の研修を受けてまいりました。
内容は包括的な審美と修復のハンズオンコースです。
虫歯の治療に対する考え方ですが、今と昔と比べると随分と変わりました。
予防の観点からすると、どのタイミングで介入するのか、静観する方が良いのかの見極めは重要になってきます。
歯を削らずに済むのであればそれが一番いいですが、中々そうもいかない状態も多くあります。
そういう場合は処置に踏み切るわけですが、人の口の中はとても繊細で、髪の毛1本挟まっただけでも違和感を覚えるようになっていますから、小さな虫歯一つを簡単に詰めているようでも結構神経使っています。
大きな虫歯になってくると歯の神経が近くなってきますし、虫歯の進行が早いタイプだと健全な歯との境界がわかりずらく、どこまで取るべきかの見極めも難しくなってきます。
普段の診療から私は10倍のルーペを使用してますが、自分の感覚を患者さんにお伝えしようとするとき、とても細かい操作になるので肉眼ベースだと上手に伝わらないことも多くあると感じています。
例えるなら、米粒に人の絵を描いてその絵の人物の表情のお話をしているような感じでしょうか。
また、昔なら虫歯をとっていく中で神経がちょっとでも露出してしまったら神経をとっていましたが、いまではMTAという材料があるので多くの神経が残せる時代になりました。
ところがこちらは保険材料ではないので、使おうと思うと自由診療になってしまいます。この辺りにいつもジレンマを感じています。
神経のない歯は、ある歯に比べ感覚が鈍くなり、歯質量も多く削られるので必然的に脆くなりますから寿命が短くなります。
昔から日本は保険制度で歯科治療してきた歴史があるので、結構簡単に歯の神経をとってくださいとお願いされることもありますし、説明なしで神経とられたとお話される方も見かけます。
歯は体の傷などと違い、一度削ったところは元に戻りません。削ったり神経をとった歯と、何もしてない歯とでは当然後者の方が長持ちします。何もせずに済むなら絶対にその方が良いのです。
僕らも皆さんも、その辺のことはあまり簡単に考えてしまわずに、ご自身の歯の価値がいかに高いものかをしっかりと認識して向き合っていく必要があります。
さて、ハンズオンコースでしたので実習もありました。
先のMTAを用いた実習と、歯科修復材料の一つ、コンポジットレジンを上手に扱う実習を行いました。
普通にやっていては中々でない光沢やツヤを出すことができたと思います。
今後も精進あるのみです。
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少子高齢社会における歯科医院の右手と左手
2018.10.18
こんにちは、院長の吉田です。
日曜日のことになりますが、2週連続で東京へセミナーを受けに行ってまいりました。
北海道の帯広で地域医療に多大な貢献をされていて、全国からも見学者が絶えないという栂安先生のお話を聞くためです。
日本のこれからの少子高齢社会化において、10年後には65歳以上の方が人口の30%を超えるという時代、訪問診療のニーズが加速していくことが想像されます。
当院でも今後のことを鑑みて様々な状況に対応ができるよう、その分野の最前線で活躍されている方の情報をしっかりと把握する必要があります。
今のところ我々歯科医院は、1次医療といういわゆる外来診療が主体の診療所がほとんどで、2次、3次医療機関は1次医療機関に比べると数的にとても少ないです。
その1次医療の中でも保険、福祉との横の連携をすることによって地域で完結する医療モデルが中々構築できずにいます。
医療界全体では我々歯科医師、歯科衛生士の働きに大きな期待が寄せられています。
ただ現状、通院が可能な健常者に対する歯科医療がメインなので、入院、在宅の栄養管理、食べる機能リハビリなどは勉強が必要です。
通院してくださる方々に、審美や矯正、インプラントなどの治すための医療を提供するのが歯科医院の右手だとすると、子どもの成長発育や口腔育成を促したり、保育や予防で地域のコミュニティーに貢献し、口腔機能の低下に対する機能療法や緩和ケアなどが左手になります。
右手で治療し、左手で支えるという医療がこれからありたい姿であると教わりました。
何年かかるかわかりませんが、永く食べられる口、幸せな口づくりに貢献して、今後おいしく食べる支援にも力を入れていきたいと考えてます。
カテゴリ:セミナー参加
不正咬合と顎関節症と睡眠時無呼吸症候群と
2018.10.13
今週の頭の話になりますが、日月と連休に品川でMRC矯正のセミナーを受けてきました。
この連休、実は横浜でワールドデンタルショーという、歯科関係者の中ではかなりのビックイベントがありまして、ほとんどの方はそちらへ行ってしまっているのではないかと思っていました。
ところが品川の方も300人以上の満員御礼状態。トピックスとしてこの分野の注目度の高さが伺われます。
私たちは3月にDr. John Flutterのセミナーを受けておりました。
今回はDr.Chris Farrellということで、Myofunctional Research Company (MRC)の代表者のお話でした。
前回のセミナーでは、我々の診るべきは単に歯ならびではなく、その背景にある子どもたちの発育不全に目を向け、呼吸と舌位を正して健康的な成長を促すことの重要性を認識しました。
今回、初めてMRCの元締めのお話を聞いて最初に驚いたのは、Dr.Chris Farrellは顎関節の問題と睡眠時無呼吸症候群とのつながり方面から不正咬合についてアプローチして話し出したことです。
MRCのロゴに、マイオブレースらしき物と一緒に顎関節が赤く記されている意味をそこで初めて知りました。
そして呼吸の重要性、嚥下の異常(逆嚥下と顎関節症)など、機能不全により結果として現れる不正咬合への向き合い方。
2日間たっぷりとお話を聞かせていただきましたが、非常に興味深く内容も多岐に渡り、まだまだしっかりと消化しきれていないというのが正直なところです。
ただ一つ言えることは、医療も本当に日進月歩で学生時代の常識はもはや非常識ということです。
おそらくワールドデンタルショーに行かれた先生方も場所は違えど、同じく時代の変化を鋭敏に察しておられるのではと思います。
そちらも見たかったですが、また5年後の楽しみといたします。
私も歯科医療を通じて、歯の本当の価値、というものを皆さんに正しく知っていただけるよう、できる限り勉強して情報収集とスキルアップを怠らないよう頑張っていきたいと思います。
お子さんの歯ならびについてのご相談も随時承っております。
お困りのことがございましたらお気軽にお尋ねくださいね。
カテゴリ:セミナー参加