今回は、歯ぎしりの原因やリスク、対処法についてご紹介します。
現代社会では知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまう方が多く、その影響が思わぬ形で現れることがあります。その一つが歯ぎしり(ブラキシズム)です。「歯ぎしりなんて自分には関係ない」と思っていても、実際には多くの方が気づかないうちに歯をこすり合わせ、強い力をかけてしまっています。
歯ぎしりの原因と種類
歯ぎしりは、無意識のうちに上下の歯を強く噛み締めたり、すり合わせたりする動作のことです。最も多く見られるのは睡眠中に起こる「睡眠時ブラキシズム」ですが、日中、集中しているときや緊張しているときに歯を食いしばる「覚醒時ブラキシズム」もあります。
原因はさまざまですが、代表的な要因には以下のようなことが挙げられます。
・心理的ストレス:緊張、不安、怒り、抑うつなどの感情が影響します。
・噛み合わせの異常:噛み合わせが悪いと、無意識に調整しようとする力が加わります。
・生活習慣:喫煙、カフェインやアルコールの摂取も関連があるといわれています。
なかでもストレスは最大の要因とされており、歯ぎしりは無意識にストレスを発散しようとする「代償行動」として現れることが多いとされています。
歯ぎしりを放置するとどうなる?
歯ぎしりの力は非常に強く、睡眠中の噛みしめる力は、通常の咀嚼時の数倍にも達するとされています。そのため、次のようなトラブルを引き起こす可能性があります。
・歯がすり減る・欠ける:エナメル質が削れ、象牙質が露出すると知覚過敏の原因になります。
・詰め物や被せ物が壊れる:補綴物が割れたり外れたりすることが増えます。
・歯が割れる(歯根破折):最悪の場合、歯の根が割れ、抜歯に至ることもあります。
・顎関節症の誘発:顎の痛みや口の開閉障害を引き起こすこともあります。
・頭痛や肩こり:歯ぎしりによって生じる筋肉の緊張が、全身の不調にも波及します。
これらのトラブルは一朝一夕に起こるものではなく、何年もかけて徐々に進行していきます。そのため、気づいたときには重症化していたというケースも少なくありません。
歯ぎしりのセルフチェック
以下の項目に複数当てはまる方は、歯ぎしりをしている可能性が高いと考えられます。
- 朝起きたときに顎がだるい、重たい感じがする
- 歯がすり減って平らになってきた
- 頬の内側に白い線がある(咬合線)
- 被せ物や詰め物がよく壊れる
- 家族から「いびきや歯ぎしりがうるさい」と指摘されたことがある
- 頭痛や肩こりが慢性的にある
1つでも気になる項目があれば、歯科医院で相談してみましょう。
歯ぎしりへの対策と治療
歯ぎしりへの対策は、症状の進行を防ぎ、歯や顎を守ることを目的に行われます。代表的な治療法には以下があります。
・ナイトガード(マウスピース)
就寝時に装着し、歯と歯の間にクッションを作ることで、歯の摩耗や破折を防ぎます。
・噛み合わせの調整
噛み合わせが原因の場合、歯の形を調整することで症状が軽減することがあります。
・ストレスマネジメント
歯科医師と連携し、必要に応じて心療内科などの専門機関の紹介を行うこともあります。
・生活習慣の見直し
カフェインやアルコールの摂取を控え、就寝前にリラックスする時間を設けることも効果的です。
まとめ
歯ぎしりは一見ただの癖のように思われがちですが、実は身体や心からの「警報サイン」です。放置すると、歯そのものを失う原因にもなりかねません。歯と身体の健康のために、今できることから始めましょう。
少しでも心当たりがある方は、かけまちコミュニティー歯科にご相談ください。
