今回は、なぜ定期的な歯科検診が医療費の削減に繋がるのか、その理由についてご紹介します。
歯の健康は全身の健康にも大きな影響を及ぼす要素の一つです。しかし、多くの人が「歯が痛くなったら歯医者に行く」という考えを持ち、定期的な歯科検診を受けることを後回しにしがちです。実際には、定期的に歯科検診を受けることが長期的に医療費の削減につながる可能性が高いことが、さまざまな研究や事例から明らかになっています。
早期発見と早期治療が治療費を抑える
定期的に歯科検診を受ける最大のメリットは、歯や歯ぐきの異常を早期に発見し、重症化する前に治療を受けることができる点です。
・むし歯の場合
例えば初期のむし歯であれば、簡単な治療で済みます。歯の表面のエナメル質がわずかに侵されている段階であれば、フッ素塗布や食生活の改善だけで進行を抑えることが可能だからです。
しかし、むし歯を放置して進行してしまうと、歯の神経まで達してしまい、根管治療が必要になります。根管治療は歯を削る範囲が広がるため、治療費も高額になり、治療回数も増えてしまいます。さらに、抜歯が必要になるほどむし歯が悪化すると、ブリッジやインプラントといった高額な治療を受けなければならなくなる可能性もあります。
・歯周病の場合
歯周病についても同様です。初期の歯肉炎の段階で適切なケアを行えば、治療費もほとんどかかりません。しかし、歯周病が進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜け落ちることになります。この段階になると、治療には高額な費用が必要となり、入れ歯やインプラントなどの選択肢も視野に入れなければならなくなります。
予防的ケアが高額な治療を回避する
歯科検診では、むし歯や歯周病の早期発見だけでなく、予防的な処置を受けることも可能です。例えば、歯石除去やプロフェッショナルクリーニング(PMTC)を定期的に受けることで、歯の表面に付着した歯垢や歯石を除去し、むし歯や歯周病のリスクを軽減することができます。特に歯周病は自覚症状が少ないため、症状が現れたときにはすでに進行しているケースが多くあります。そのため、歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニングを受けることは、健康な歯を維持し、結果的に高額な治療を避けるために非常に有効です。また、フッ素塗布などの予防的ケアも重要です。フッ素は歯の再石灰化を促進し、むし歯を防ぐ効果があるため、定期的に塗布することで歯の健康を守ることができます。
全身の健康維持にも貢献し、医療費削減につながる
歯や歯ぐきの健康は、口腔内だけでなく全身の健康にも大きく影響を及ぼします。例えば、近年の研究では、歯周病と糖尿病、心血管疾患、誤嚥性肺炎、アルツハイマー病などとの関連が指摘されています。
特に、糖尿病患者は歯周病のリスクが高く、歯周病が悪化すると血糖値のコントロールが難しくなることが知られています。逆に、歯周病を治療することで血糖値が安定しやすくなるため、糖尿病の管理にも寄与するのです。
また高齢者の場合、口腔内の健康状態が悪化すると食事がうまく摂れなくなり、栄養不足につながることがあります。さらに、噛む力が低下すると認知機能の低下を招くことがあるため、健康寿命を延ばすためにも歯のケアは重要です。
このように定期的に歯科検診を受け適切なケアを行うことで、これらの疾患のリスクを軽減し、結果的に医療費の削減につながると考えられます。
長期的な視点で見ると経済的なメリットが大きい
歯科検診の費用を惜しんで受診を避けると、短期的には出費を抑えることができるように思えます。しかし、長期的に見ればむし歯や歯周病が進行し、高額な治療が必要になる可能性が高くなります。定期的な歯科検診を受けることで、軽度な処置で済ませることができ、高額な治療費を回避できるのです。
例えば、年に2回の歯科検診とクリーニングにかかる費用が1回あたり数千円だったとしても、将来的に数万円から数十万円かかる治療を避けることができれば、トータルの医療費を大幅に削減することが可能です。さらに、健康な歯を維持することで食事を楽しみ、生活の質(QOL)を向上させることもできます。
まとめ
定期的な歯科検診は、むし歯や歯周病を早期に発見し軽度な治療で済ませることができるため、長期的に見て医療費の削減につながります。さらに、予防的なケアを受けることで歯の健康を維持し、高額な治療を回避できる可能性が高まります。また、歯と全身の健康は密接に関係しており、歯の健康を保つことで糖尿病や心血管疾患などのリスクを減らし、医療費の抑制にも寄与します。健康な歯を維持することは、結果的に経済的な負担を軽減するだけでなく、生活の質を向上させるためにも非常に重要です。
定期検診やクリーニングのご予約は、ぜひかけまちコミュニティー歯科にご相談ください。