今回は、乳歯がむし歯になることでどのような影響があるのか、そしてむし歯になりにくいおやつの選び方や、定期検診の重要性についてもご紹介します。
「乳歯はそのうち抜けるから、むし歯になっても大丈夫でしょ?」と思っていませんか? 確かに乳歯は一生使う歯ではありませんが、実は乳歯の健康は、将来生えてくる永久歯の健康にも大きく関わっています。特に夏休みは、生活リズムが乱れやすく、甘いおやつや冷たいジュースを口にする機会も増える季節です。この時期こそ、お子さんの口腔環境を見直し、むし歯予防にしっかりと取り組む絶好のチャンスです。
乳歯のむし歯が永久歯に与える影響
乳歯は、永久歯が生えてくるまでの単なる仮の歯ではありません。乳歯には、次に生えてくる永久歯を正しい位置に導く「道しるべ」としての役割があります。そのため、乳歯がむし歯で早く抜けてしまったり、感染が進んで歯の根の先に膿がたまるような状態になると、次のような悪影響が生じる可能性があります。
・永久歯の生える位置や時期がずれる
乳歯が本来の役割を果たさずに抜けてしまうと、周囲の歯がそのスペースに倒れ込んだり、ずれてしまうことがあります。すると、永久歯が正しい位置に生えてこられず、歯並びが悪くなる原因になるのです。
・永久歯の質に影響することも
乳歯の根の先には、永久歯の芽である歯胚(しはい)が存在しています。乳歯のむし歯が進行し、炎症が歯の根の周囲に広がると、この歯胚に悪影響を及ぼすことがあります。
その結果、永久歯が変色していたり、エナメル質が未完成な状態で生えてくることもあるのです。
・食べる・話す機能にも影響
むし歯によって乳歯が痛んだり抜けたりすると、しっかりと噛むことができなくなります。咀嚼力の低下は、あごの発育や栄養バランスにまで影響するため、見過ごすことはできません。また、前歯を早く失うと、発音に支障をきたすケースもあります。
夏休みはむし歯予防のチャンス!
普段は学校や保育園で忙しいお子さんも、夏休みは家庭での時間が長くなります。この時期にこそ生活習慣を見直し、むし歯予防にしっかり取り組むことが大切です。
・間食・おやつの見直しをしよう
むし歯は、食べ物に含まれる糖分をエサにしたむし歯菌が酸を出し、その酸が歯を溶かすことで発生します。つまり、糖分の摂取頻度が多ければ多いほど、むし歯のリスクは高くなります。とはいえ、「おやつをやめる」というのは現実的ではありません。大切なのは、むし歯になりにくいおやつの選び方と、ダラダラ食べを避けることです。
・むし歯になりにくいおやつの例
- 甘くないおにぎりやサンドイッチ
- チーズ、ナッツ(年齢に応じて注意)
- 無糖ヨーグルト
- 野菜スティック
- キシリトール入りガム(年齢に応じて)
逆に、キャラメル、グミ、アメ、チョコレートなどは歯にくっつきやすく、口の中に糖が長時間残りやすいため、できるだけ頻度を控えましょう。また、「15時におやつタイムを決める」といったルールを作ることで、だらだらと何度も食べる習慣を防ぐことができます。
・食後やおやつ後の歯みがきを習慣に
小学生以下のお子さんには、保護者による仕上げ磨きがまだまだ必要です。特に奥歯や歯と歯の間は、子ども一人では磨き残しが多くなりがちです。
夏休みのうちに、「食べたら磨く」の習慣を身につけられると、2学期以降のむし歯リスクもぐっと下がります。
定期検診で“見えないむし歯”をチェック
むし歯は、痛みが出る前から静かに進行しています。特に乳歯はエナメル質が薄く、むし歯が進行しやすいため、症状が出る前の早期発見・早期治療がとても重要です。定期検診では、目視だけでなく、歯と歯の間のむし歯を見つけるためにレントゲンを撮ることもあります。また、フッ素塗布やシーラント(奥歯の溝をふさぐ予防処置)などの予防ケアも行えます。
夏休みは時間に余裕があるからこそ、歯医者に行くチャンスです。むし歯ができてから慌てて通うよりも、トラブルがない今のうちに定期検診を受けることが、お子さんの歯の健康を守る第一歩です。
まとめ
乳歯のむし歯は、「いずれ抜けるから大丈夫」と軽視されがちですが、永久歯の健康、歯並び、噛む・話すといった基本的な機能にまで影響する可能性があります。夏休みという生活習慣を見直しやすいこの時期にこそ、食生活や歯みがき習慣を整え、定期検診でお口の状態をしっかりチェックしてあげましょう。
お口の中で気になることがある方は、かけまちコミュニティー歯科にご相談ください。
